05クローン病の日常生活と 社会生活について
監修 東邦大学医療センター佐倉病院
内科学講座 教授 松岡 克善 先生
クローン病を発症すると、治療を続けながら生活をしていくこととなりますが、症状が落ち着いた状態である寛解期であれば、普通の生活を送ることも可能です。再燃させないために、治療をきちんと継続し、食事や規則正しい生活に気を付けながら、クローン病と上手に付き合っていきましょう。
日常生活で気を付けること
服薬と継続的な治療
病気と一生付き合っていくと同時に、定期的な受診と検査が大切です。クローン病は根治しない病気なので、「長く安定した状態を保つ」ことを目指します。症状がないと、薬をやめてもよいような気になりますが、薬をやめると再燃する可能性があるので、治療を続けていくことを意識しましょう。
規則正しい生活
規則正しい生活を続けることが重要です。
食事内容や食事制限
バランスのよい食事内容や1日3食食べるなど、腸のはたらきを乱さないような食生活が理想です。低脂肪で消化のよい食品を選ぶことがポイントです。消化や吸収不良がある場合は、食べやすく、やわらかいものを選びましょう。また、消化管が狭くなっている患者さんでは、腸管の内容物が詰まってしまう腸閉塞を起こす可能性がありますので、食物繊維の多い食べ物は控えるようにしましょう。詳しい食事内容についてはこちらです。
運動
適度な運動を健康のために心がけている方は多いのではないでしょうか。疲れているときに無理に体を動かす必要はありませんが、気持ちよいと思える程度の運動を続けることで、腸のはたらきを保つことができます。
睡眠
生活リズムを整えることと、睡眠不足にならないようにすることが大切です。疲れがたまっていて、ストレスを感じていると腸に影響を与え、腹部症状が出る可能性があるので注意してください。
社会生活について
学校生活
症状が落ち着いていれば、学校生活で制限することは、基本的にありません。症状が出てきたときは、トイレの回数が増え、腹痛がひどいなど、授業を受けられないこともあるでしょう。担任の先生にはクローン病について理解してもらうために、事前に話しておくとよいでしょう。相談の際には、診断書やクローン病について説明された本や冊子があると理解してもらいやすくなります。
仕事
クローン病にかかっているという理由で就けない職業はありません。症状が安定していれば、残業や出張など、どんな仕事でも、基本的に問題ありません。寛解状態であれば、問題なく働けるでしょう。再燃してしまうと仕事に支障をきたす場合があるので、忙しくても治療と通院は欠かさないようにしましょう。
妊娠・出産
クローン病は若い世代に発症しやすいため、将来の妊娠や出産に影響があるか不安を感じることがあるでしょう。薬が妊娠や出産に影響することは少なく、治療を続けながら妊娠や出産が可能です。妊娠や出産を希望される場合は、あらかじめ主治医に相談しましょう。